花と温泉の八ヶ岳(天狗岳~赤岳縦走)

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日本にやってきた彼女を連れ、富士山ガイドの仕事の合間に八ヶ岳まで行ってきた。

八ヶ岳は個人的に好きな山域だ。広い山域ではないが、北八ヶ岳の美林と湖沼、南八ヶ岳の岩峰と高山植物、山麓に点在する温泉には日本の山の魅力が詰まっている。

今回は1日目に渋の湯から入山し、天狗岳を経て本沢温泉で一泊、2日目は硫黄岳、横岳、赤岳を経て美濃戸口へ下山した。

The Yatsugatake Montains are a volcanic mountain range which lies on the border between Nagano and Yamanashi prefecture. I personally really love this mountain range, because despite its narrow area streching only about 30km from north to south, it has almost all of the appeals which Japanese mountains hold, such as beautiful coniferous forest and ponds in Northern Yatsugatake Range, rich variety of alpine plants and pyramidal mountain peaks in South Yatsugatake Range and hot springs scattering at the foot of the mountains.   

  • 7月31日

渋の湯~東天狗岳~西天狗岳~本沢温泉▲1

上野駅から始発電車に乗り、車内で2人爆睡しながら中央本線を一路北西へ向かう。茅野駅で列車を降りてバスに乗り換え、そこから約1時間で登山口の渋の湯に到着だ。

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シナノオトギリ 信濃弟切 Hypericum kamtschaticum var. hondoense

シラビソ林に囲まれた綺麗な黒百合ヒュッテで一休みし、「台湾の雪山圏谷の景色に似てるよね」などと話しながら、夏の青空と緑が鮮やかな天狗岳の稜線を歩いた。

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天狗岳

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西天狗岳山頂にて

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天狗岳根石岳の鞍部へ下る

鞍部からは単調な道を「早く温泉に入りたいね」という話をひたすら繰り返しながら下り、1時間強でようやく本沢温泉に辿り着いた。荷物を下ろし、早速向かうのは露天風呂。「通年営業の」という条件付きではあるものの日本最高所にある露天風呂である本沢温泉の野天風呂は抜群のロケーションにある。虫の死骸が沢山浮いているのが少し気味悪いが、暮れゆく硫黄岳の爆裂火口を眺めながらゆっくりと湯に浸かった。

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本沢温泉へ到着

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夕食はすき焼き。山で食べる生卵は美味しい。豆腐も忘れず持っていけば更に良かったのだろうけれど。

そして午後8時消灯後は内風呂に入った。源泉かけ流し、加熱も加水もしていない上質の温泉を贅沢に一人占めし、時々壁を隔てて他愛もない会話をしながらゆっくり疲れを癒した。

  • 8月1日

▲1~硫黄岳~横岳~赤岳~美濃戸口

 清々しい朝を迎えた。朝日を浴びながら野天風呂で一風呂浴びて硫黄岳へ出発。

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本沢温泉の朝

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露天風呂の朝

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硫黄岳山頂直下の巨大ケルン

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 硫黄岳山頂より横岳~赤岳~阿弥陀岳の稜線

 

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コマクサ 駒草 Dicentra peregrina

硫黄岳山荘付近にはコマクサの大群生地がある。

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チシマギキョウ 千島桔梗 Campanula chamissonis

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横岳山頂にて

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横岳から望む赤岳

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タカネナデシコ 高嶺撫子 Dianthus superbus var. speciosus

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イワヒバリ 岩雲雀 Prunella collaris

高山のハイマツ帯や岩場に生息。多夫多妻で繁殖を行うという珍しい特徴を持つ。

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ミネウスユキソウ 嶺薄雪草 Leontopodium japonicum var. shiroumense

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タカネツメクサ 高嶺爪草 Minuartia arctica var. hondoensis

 

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赤岳直下から阿弥陀岳を望む

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ホシガラス 星鴉 Nucifraga caryocatactes

全身の白い斑点が夜空に浮かぶ星に見えることからこの名前がある。針葉樹の種や木の実を好んで食べ、秋の間にはこれらを冬に備えて土の中や木の洞に隠して貯めておく習性を持っている。埋められたまま残った種がやがて発芽し木に育っていくので、森林とホシガラスは相利共生の関係にあると言えるだろう。

ホシガラスを知っていますか?

帰りの中央線は豪雨のため、2時間以上遅延した。駅蕎麦を2回食べ、売店でビールを買って飲んだりしても列車はやってくる気配がない。彼女はひたすら「日本のJRはもっとまともだと思っていた」を繰り返していた。諏訪方面が豪雨で足止めされているなら甲府方面からさっさと列車を送ってくれれば良いじゃないかというのである。いずれにしてもこういう時に弱い立場に置かれるのは僕達のような18切符ユーザーである。列車が遅れようと終電が無くなろうと何の補償も得ることができないのだから。ともあれ結局彼女の言った通り甲府方面から来た3本目くらいの列車が茅野で折り返し上り列車となり、何とか帰路につくことができた。そして日付が変わる頃にようやく上野駅に辿り着いた。

......今回は気楽な山行だったけれど、とても幸せな時間だった。これからはこうやって小屋泊でのんびりと穏やかな気分で山を歩くのも悪くないなぁと思った。何も毎回毎回重いテントと寝袋類を背負って山を徘徊する必要もないのだ。そんなことを僕に思わせたものは一体何だったんだろう。