休学中の記録

韓国の旅の情報収集方法(関東在住者向け)

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近く休みを取って韓国に行く予定にしている。今回はその前段階として、韓国旅行の情報収集方法(主に関東在住者向け)を紹介すると共に、自分がこれまでに読んだ本をテーマ別に挙げていきたい。

韓国文化院図書室

旅に行く時、時間がなければ『地球の歩き方』にざっと目を通すだけであとは成り行きに任せるのだが、時間があればその国/地域に関する本を数冊しっかり読んでいくことにしている。

ただいつも悩ましいのは、書店や地元の図書館には、定番の旅行ガイドブックや、それっぽいおしゃれな装丁の特集本などはあっても、なかなかテーマ別により深く突っ込んだガイドブックが見つからないことだ。

今回韓国についても色々苦労しながら探してみたが、結局韓国文化院の資料室が非常に充実しており、自分が読みたいと思っていたカテゴリーの本をほとんど見つけることができた。韓国への理解を深める上でとても役に立つ施設だと思うので、下記に施設の概要と、参考までに読んだ本を紹介してみようと思う。

四谷三丁目の韓国文化院3Fにある図書映像資料室では、韓国関連の日本語書籍を10,000冊(韓国語図書16,000冊)を所蔵している。旅行書も豊富に所蔵しているため、韓国の旅の計画を立てるにはまたとない場所だ。読書スペースも十分広く、Wifiも使えるので居心地が良いし、4階には韓国庭園があって、本を読むのに疲れたら日向ぼっこもできる。

遠方から来館する人に配慮してなのか、図書の返却は郵送・宅配でも受け付けているという。新宿御苑にも近い立地なので、週末(日曜は閉館なので土曜)に散歩がてら寄ってみるのも面白いかもしれない。

書籍の紹介

鉄道
小さな駅を訪ねる韓国ローカル鉄道の旅

小さな駅を訪ねる韓国ローカル鉄道の旅

 

韓国ローカル線の駅舎や鉄道遺構、沿線の歴史や周辺観光スポットなどを紹介している本。「文化財に登録された駅の紹介」「給水塔のある駅の紹介」「駅近の食事処の紹介」など、鉄道ファンが欲しそうな情報がしっかり掲載されている。もう8年ほど前の本なので、かなり韓国鉄道路線をめぐる環境も変わっている*1のは否めないが、それを差し引いても読み物として面白い。

日本鉄道旅行地図帳 朝鮮台湾 (新潮「旅」ムック)

日本鉄道旅行地図帳 朝鮮台湾 (新潮「旅」ムック)

 

日本統治時代の朝鮮の鉄道路線図や駅舎の古写真、市街図などを豊富に紹介している書籍。南北が分断される前の日本統治期には北緯38度線に関係なく鉄路は繋がっていた。京元線は京城(ソウル)と北朝鮮の元山を結んでいたし、京義線京城(ソウル)と北朝鮮新義州を結び、その先の満州へと繋がっており日本の大陸進出に大きな役割を果たした路線であった。東海岸の束草や襄陽は現在韓国の領土であるものの、当時ソウルや春川との間には大きな山脈に遮られて交通が通じておらず、むしろ「東海北部線」でつながる現北朝鮮領の金剛山、元山方面と地域一体性があったのではないかと推測される。そんな面白い発見があった。

なお、日本統治期の鉄道や沿線紹介をより詳しく知りたい場合は、国立国会図書館デジタルアーカイブでも参照可能な朝鮮総督府鉄道局(1934)『朝鮮旅行案内記』を読むと良い。

実際の旅行計画にあたっては上記のウェブサイトを参考にしようと思う。こちらでは韓国の鉄道時刻表を日本式に編集し、公開している。ポケット時刻表片手に鉄道旅行を楽しむことに慣れている自分にとって、路線別に列車が一覧で見られるのはとてもありがたい。

なお、通常の時刻検索ならば韓国鉄道公社の下記ウェブサイトで日本語で検索ができるし、予約もできる(はずなのだが、予約しようとしてもエラーが発生し、原因もよくわからないポンコツサイトでもある。現在調査中。)

http://www.letskorail.com/ebizbf/EbizBfTicketSearch.do

街歩き
都市の景観地理 韓国編

都市の景観地理 韓国編

 

 「地理好きの高校生がこれを読めば将来地理学を勉強したくなる内容」「大学1・2年生がこれを読めば地理学を専攻したくなるような内容」をコンセプトに、韓国の都市の歴史を紐解いていく。李氏朝鮮期から続く風水に基づく空間配置や日本統治時代の近代都市計画、現代の交通網の発展などが複合して組み合わさって、現在の韓国の都市の姿があるのだということがよくわかる。釜山、大田、大邱、ソウルといった韓国の大都市はその成立過程や発展要因が大きく異なっているのがわかって面白い。

韓国? 古い町の路地を歩く

韓国? 古い町の路地を歩く

 

韓国の特徴的な地方中小都市を9都市厳選し、その歴史や風土を紹介しつつ将来の町づくりへの展望を語る本。江景の町でなぜ塩辛が特産になったのか、ということの背景を説明した上で、「塩辛の町」一色に染まる現在の町のあり方への違和感を提起する箇所など面白かった。画一的な「古い町並み」よりも、それぞれの時代の建築物が共存し、各時代における町の発展の歴史を物語っているような、そんな町並み(安東などがその好例である)を好むのが著者のスタンスである。自分のような韓国歴史初心者には少し難しいのでつまみ読みするのにオススメ。

韓国酒場紀行

韓国酒場紀行

 

紀行作家の鄭銀淑さんの紹介する韓国の酒場はどれも魅力的で、旅への期待を高めてくれる。この本では地元密着型の酒場や地元の呑兵衛が好きなメニューをたくさん紹介している。そして、地名を紹介する時に「東京で言うと北千住のような」といった具合で説明してくれるのでわかりやすいし面白い。

*1:最近、韓国の鉄道では路線改良が進行している。韓国のローカル線では、従来、地形の間を縫って比較的複雑な線形の路線が敷かれていた。それが近年はトンネルで山を大胆にくり抜くなど、直線的な軌道へと付け替える工事が各路線で行われている。例えば釜山から慶州への移動に便利で、海沿いの風光明媚な景色で知られていた「東海南部線」も、電化及び路線付け替えで旧線は2015年に廃線となり、これまでの駅とは別の場所に新駅が設置されている。

本で紹介された駅の中には、8年を経て既に現役ではなくなった駅もある。