新羅の古都 慶州と仏国寺

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日本の仏教は朝鮮半島から伝わった。このため朝鮮半島と日本の古代仏教文化や美術品には共通点がたくさんある。奈良出身の自分にとって、奈良時代平安時代の日本に大きな影響を与えた新羅の古都・慶州はいつか訪れてみたい町だった。実際、慶州市と奈良市姉妹都市なのだ。

今回は駅の近くで自転車を借りて慶州市内〜仏国寺を回った。以下に簡単に記録を記しておこうと思う。

レンタサイクルの旅

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まず慶州駅にたどりつき、駅近くのレンタサイクル屋で1日8,000ウォン(19時までに返却)で自転車を借りた。慶州は比較的コンパクトな町であるが、それでも国立博物館や古墳・遺跡などを効率良く回ろうとすると自転車は必須である。今回は思ったより安く借りられたので下記にレンタサイクル屋の場所を共有しておく。

デポジットにパスポートが必要だが、店主のアジョッシがスマホで顔ページの写真を撮ってそれを以てデポジットとするだけだ。パスポート本体は自分の手元に置いておけるので安心である。

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レンタサイクル屋のすぐ近くにあるセブンイレブンアロエジュースを補給し、出発!

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まずはエネルギー補給の朝食、ということで慶州中央市場に向かった。市場を歩いていると、朝から飲んでいるおじさん達のグループが入っている店があった。焼酎もビールも3000ウォンでスープ類も6000ウォン/7000ウォンと、とても経済的だし、きっと良いお店なのだろうと思い、「牛の頭のスープ(소머리곰탕)」を頼んだ。牛の頭の肉は初めて食べたのだが、コラーゲン質のプリプリの肉できっと美容に良いのではないかと思う。スープ自体の味はすっきりしているので、付け合わせのニラキムチなどと一緒に食べるとちょうどおいしい。7,000ウォン。

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豪華な朝食でエネルギー補給を終え、歴史地区へと自転車を走らす。3月下旬の慶州では木蓮の花が満開に咲いていた。春の日差しに照らされた饅頭型の古墳がポコポコと連なっていて可愛い。

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諸説あるものの東洋最古の天文台と言われている瞻星台も訪れた。

そしてこの後仏国寺に向けて自転車を走らせた。慶州市内から仏国寺までは10キロほどで、「途中の農村風景を見ながら行けば良いか」と軽い気持ちで自転車で行くことに決めたのだが。。大木が生い茂る古墳が所々にある以外にあまり特筆すべき風景はなく、車の交通量も多くかなりしんどい思いをすることになった。仏国寺に行くならやはり素直にバスに乗ることをお勧めする。

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Korailの仏国寺駅。仏国寺からは3キロ強離れており、ここから登り坂になる。

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午後になってやっとの思いで仏国寺にたどり着いた。仏国寺の多くの建物は1970年代の再建であり比較的新しい。しかし建物の基礎部分を成す石段や石廊は新羅時代に建造され、修復を経ながら現代まで残っているという。

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そして特筆すべきは花崗岩で作られた、石塔の美しさである。こちらの「多宝塔」も創建当時から残る建造物で国宝に指定されている。獅子は元々4体あったが、現存しているのは1体のみ。

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自転車をたくさん漕いだ汗が乾きはじめると、急に疲れを感じた。寝不足だったので、ベンチで横になって昼寝をした。太陽が照り、気温がちょうど良くてとても気持ちよかった。

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再び今度は逆風の中、一生懸命市内まで自転車を漕いだ。最後に立ち寄ったのは国立慶州博物館。屋根の中心は五重塔によくあるような相輪をモチーフしているのか、何となくJR奈良駅の旧駅舎を思わせる。無料で入館が可能で、内部の展示はとても豊富である。

特に土偶や瓦や壺などはこれまで自分が奈良で見てきたものととても似ており既視感があり、古代日本がいかに朝鮮半島と結びつきながら存在していたかということに思いを馳せることができた。夕方に無事自転車を返し、宿で少し休んでから夕食を食べに出かける。

たくさん運動をしたので夕食は2食分食べることにした。

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まずは炸醬麵(짜장면)。炸醬麵と名の付く料理は東アジア各国あるが、それぞれ全然異なっていて面白いと思う。韓国の炸醬麵は真っ黒で、付け合わせに生の玉ねぎや黄色い沢庵がつく。今回初めて食べてみたが、甘さと塩辛さの塩梅がちょうど良くて万人受けしそうな味だと思った。40,000ウォン。

ところで個人的に「炸醬麵」と名のつく料理は日本、中国、台湾、韓国で食べたことになるが、一番おいしかったのは北京にいる時に食べた「海碗居*1」の炸醬麵だろう。

北京の友人に連れて行ってもらってその味に感動し、その後韓国人の友人を連れて行った時、彼女が炸醬麵は「韩国也有(韓国にもあります)」と言っていたのを思い出して、今回韓国で食べることにしたのだった。

しかしやはり北京で食べたものの味にはかなわなかった。

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夕食はスケトウダラのチゲ(동태찌개)にした。夕方にかけて急激に気温が下がり、風も吹きはじめて寒さを感じたので、体を温めるのにちょうど良いメニューだと思って注文した。アジュンマ1人がやっている店で誰一人お客さんはいなかったけれど、「これ以上探すのも面倒だし」ということで意を決して入ってみると思いのほかとてもおいしかった。

辛いチゲを多少薄めのhiteビールで流し込む感覚は少し癖になってしまいそうだった。ビール合わせて11,000ウォン。

...お腹いっぱい食べてから宿に戻った。翌日は朝早い電車で安東へ向かうので、ゆっくりと休むことにした。充実した1日がこうして過ぎていった。

慶州へのアクセス

今回は大邱空港*2に降り立って、慶州へと向かった。

金曜日の16時半に退社して東京駅から成田シャトルで空港までアクセスし、20時台発の便に余裕を持って搭乗した。大邱空港についたのは23時を過ぎていたので、タクシーを拾って東大邱にあるチムジルバンまで向かい仮眠することにした。タクシー代は600円程度で、チムジルバンの宿泊費が11,000ウォン(1100円)であることを考えると少し高いが、必要な支出なので仕方がないし、日本のタクシーに比べればとても安い。

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今回泊まったのは東大邱にある宮殿ラベンダー(궁전라벤다)というチムジルバンである。着いたのが深夜のため浴室は開いていなかったが、支給される室内着に着替えて床暖房の効いた部屋でマットを敷いてゆっくり眠ることができるし、充電に利用可能なコンセントもありとても快適だった。翌朝5時頃には浴室がオープンするので、身体を綺麗に洗ってさっぱりした状態で出発できる*3。外に出ると晴れわたり、少しひんやりした空気が何とも気持ちの良い朝である。

地図を見ればわかるように、宮殿ラベンダーから東大邱駅(동대구역 dongdaegu station )までは至近の場所にある。記憶ではゆっくり歩いて徒歩10分強だったように思う。駅まで続く高架橋からは韓国らしいマンションが林立する町並みが見渡せ、少し寝不足の体が朝日の刺激を受けて何とも言えない心地良い気分になる。

大邱駅は大邱のターミナル鉄道駅で、釜山~ソウルを結ぶKTXも停車するとても便利な駅である。今回はここからムグンファ号で慶州までアクセスした。慶州まで1時間強なので、早朝から観光を開始できる。

韓国の鉄道旅については下記記事を参照してほしい。

参考

奈良市は東アジアの歴史都市との自治体交流が盛んで、慶州、西安と友好・姉妹都市協定を結んでいる。

http://www.clair.or.jp/j/forum/forum/pdf_285/11_kouryu.pdf

平城遷都1300年記念出版 NARASIA 東アジア共同体? いまナラ本

平城遷都1300年記念出版 NARASIA 東アジア共同体? いまナラ本

 

 一時期「東アジア共同体」という言葉が流行ったが、その際に注目されたのが、中国・朝鮮半島の歴史と連動しながら成立した平城京の政治社会モデルだった。

今回は何も予習しないまま訪問してしまったので、また今度韓国文化院で本を借りて勉強してみたい。韓国文化院については下記記事を参照のこと。

 

 

*1:海碗居は「老北京」というにふさわしい雰囲気の内装の店内で、テーブルの上には大蒜がバスケットに山盛りになって置かれている。炸醬麵を注文すると、服務員が目の前で数種類の薬味を小皿から流れるような動作で麺のお碗に盛り付けてくれる。そして最後に自分で炸醬を混ぜ込んで食べる。コシのある麺に薬味の香りとコクのある炸醬が絡み、そのマリアージュに夢中になりながら麺をすすった。そして甘ったるいお茶飲料の「加多寶」を合わせながら、北京ローカルになった気分で店の雰囲気を楽しんだ。http://toyojapan1.hatenablog.com/entry/2015/09/09/143533

*2:大邱空港へは2019年現在新千歳、成田、関西、福岡、熊本、鹿児島、那覇から週83便の直行便が飛んでおり、LCCハブ空港のような様子を呈している。

*3:石鹸は備え付けであるが、シャンプーやアメニティ類は無いため注意が必要