休学中の記録

台北近郊の動植物観察(猫空、林口、台湾大学、横山)

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台湾は山地が全島の3分の2ほどを占めており、都市の郊外には豊かな自然が広がっている。日本と似た動植物も多く見られる一方で、日本で見られない南方系の動植物もたくさん見られるため観察するのがとても楽しい。以下はその観察記録(2019年5月)。

横山

台鉄の支線、内湾線に乗って新竹の横山というところにやってきた。社区は高齢化が進んでおりとても静かな場所だが、周りには農地が広がり農業用のため池や水路などがたくさんあって、生物多様性が高い。

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廟の後ろには樟の大木。

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臺灣鳳蝶 Papilio thaiwanus ワタナベアゲハ

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環紋琵蟌 Pseudocopera ciliata 

モノサシトンボの仲間。香港にも多く分布しており、香港では「毛狹扇蟌」と呼ばれているようだ。

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民家の軒先にあった木瓜(パパイヤ)。台湾では木瓜牛奶(パパイヤミルク)がよく飲まれている。個人的には珍珠奶茶(タピオカミルクティー)より、自然な甘さが楽しめる木瓜牛奶(パパイヤミルク)や芋頭牛奶(タロイモミルク)の方が好きだ。

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新竹から苗栗の一帯には客家がたくさん居住しており、客家料理が食べられるのも楽しみの一つ。特にもちもちのうどんのような粄條はとても美味しい。

猫空

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茶畑が広がることで有名な台北郊外の猫空。MRTで動物園駅まで行って、そこからロープウェイに乗ってアクセスする。新しいカフェもたくさんできていたが、一方でオープンエアに色あせた机と椅子が少し雑然と置かれているような、自然の中でゆっくりと純粋にお茶を楽しめるようなそんな素敵な場所がちらほら見られた。

中国の杭州郊外・龍井を思い出すような雰囲気がある。

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閃光苔蛾 Chrysaeglia magnifica ルリモンホソバ

中文名の「閃光」は成虫の鮮やかなオレンジ色から、「苔」は幼虫が樹上の苔類を食べて成長することから付けられていると思われる。あくまで推測。

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香水合歡 Calliandra brevipes

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猫空からは台北101が見える。台北は近郊に豊かな自然が広がっている。北には陽名山、南東には猫空の茶畑があって、風光明媚で過ごしやすい街だと思う。

国立台湾大学

国立台湾大学はかつて4年前に台湾に滞在した時、最も長い時間を過ごした場所だ。当時は留学生としてではなく、ただ単にキャンパスの雰囲気がとても好きで、登山の資料を集めたり記録を書いたりする作業場所として使っていた。台湾で過ごした2ヶ月半の歳月の色んな記憶を思い起こさせてくれる、自分にとって特別な場所だ。

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台湾大学キャンパスの中で一番好きな場所の一つ。行政大樓の裏側の通りで、瓦屋根に雁木のような庇がついた通りが特徴的。大王椰子の並木もあってとても雰囲気がある。

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蘭嶼觀音坐蓮  Angiopteris palmiformis

蘭嶼でよく見られるほか、恆春半島にも一部分布している。実は国立台湾大学のキャンパス内にも植えられている。塊状の根茎から放射状に大型の葉が伸びる様子が特徴的。

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台湾大学のキャンパスには杜鵑(ツツジ)がたくさん植えられている。台湾大学の学生祭も「杜鵑花節」という名前である。

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キャンパス内にはシダ類の庭園があったり....

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その他に温室があったりする。1931年に完成した建物を、当時の雰囲気を残したまま2008年に補修して使用しているものだ。

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建物が密集して圧迫感があり坂道も多い東大の本郷キャンパスと比べると、広々としたキャンパス内に農場まであり、自転車でたくさんの学生が行き交う台湾大学はとても居心地が良くて学生が羨ましい。旧帝大の中では北海道大学に並んで素敵なキャンパスだと思う。

林口

林口は台北と桃園の間にある台地上の町だ。桃園空港から機場捷運(MRT)で台北市内に向かう時、注意深く車窓を眺めると途中に山間地を急勾配の高架橋で通過する箇所があるのに気づくが、そこが林口台地だ。

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台地の上に新しく開発された街があり、台地崖とその下部には森林と農地が広がるという興味深い構造になっている。

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5月初旬、台湾各地の低山では「油桐花」が満開を迎える。日本統治時代に中国大陸から経済植物として大量に持ち込まれたのがきっかけで広く分布するようになっている。

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鼎脈蜻蜓 Orthetrum triangulare

シオカラトンボの仲間

高山植物だけではなく、身近な動植物ももっとたくさん知って、世界を広げていきたいと思う。