休学中の記録

韓国鉄道旅行の魅力について

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3月20日~24日に韓国へ旅行した。移動手段は路線バスを除くと全て鉄道で、大邱~慶州~安東~ソウル~大邱という経路で京釜線、中央線などを乗りつぶした。そこで、今回の記事では韓国鉄道旅行の魅力を何点かに分けて紹介してみたいと思う。また、記事の最後には韓国の鉄道切符の買い方を簡単に紹介する。

 ①韓国の鉄道旅行はとても手軽だ。

韓国の鉄道駅には中国のような荷物検査はない。チケット購入や駅に入場する際のパスポートチェックもないし、駅には改札口すらないので、文字通りプラットフォームにぷらっと降り立てばそのまま乗車することができる。出入りが自由なので、もしいわゆる「撮り鉄」的な趣味を持っていれば、実際に乗車しなくても駅にいるだけで楽しむことができる。

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慶州駅に入線する太極旗色のムグンファ号。韓国の鉄道駅のプラットフォームには自由に出入りすることができる。もしあなたが「撮り鉄」であれば、列車に乗る用事がなくても駅に発着する列車を眺めるだけで観光になるだろう。

②韓国は列車料金が非常に安い。

韓国を旅行していると食費は案外日本と大きく変わらないのだが、交通費はとても安いと感じることが多い。例を挙げれば慶尚北道の安東からソウルの清涼里までムグンファ号の約3時間半の乗車はたったの15400ウォンだ。また、大邱から慶州までの1時間強のムグンウァ号の乗車は4500ウォンである。ウォン円換算は概ね0を1つ取れば良いので、15400ウォン=1500円強、4500ウォン=450円ということになる。日本の鉄道と比較するととても経済的な移動が可能だ。

春夏冬の青春18きっぷシーズン以外でのんびりローカル線の旅を楽しみたい「乗り鉄」の人達は、隣国の鉄道に目を向ければ季節を問わず予算内で旅情ある旅が楽しめるだろう。

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安東→清涼里の行先表示板。列車側面の窓下に始発駅と終発駅が記載される方式は電光表示よりも味があって好きだ。3時間半の乗車で約1500円。

③韓国のローカル線はとても快適である。

韓国の線路幅は新幹線と同じ国際標準軌であるから、日本のローカル線よりも車内空間が広く、通路の幅も広くゆったりしている。一般にセマウル号が特急列車、ムグンファ号が急行列車とされるが、いずれも長距離を運行する客車式の列車であり、ドアの開閉に煩わされることのない車内はとても静かだ。長距離列車が数多く運行されているため、ほとんど乗り換えることなくローカル線の旅を楽しむことができるのもまた良い。

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ムグンファ号の車内。大きい窓が嬉しい。

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マンゴー味のドリンク、A'liveを旅の友に車窓を眺める。

④韓国の鉄道旅行は旅情豊かだ。

韓国の鉄道のプラットフォームはとても低い。その低いプラットフォームから大型の機関車に牽引される列車が入線する様子を見上げるととても迫力があり、大陸にやってきたことを実感させてくれる。朝鮮半島ユーラシア大陸の一部分であり、鉄路が大陸の遥か先へと続いていることに思いを馳せることができる。

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安東駅に停車中のムグンファ号

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車窓には雪に煙る教会のシルエットが美しい。朝鮮半島中国東北部~ロシアと陸続きであることを思わせる車窓風景だ。

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南北朝鮮の交通が遮断されている現代において、韓国は物理的には大陸と繋がっていながら事実上いわば島国のような状態になっている。ソウル駅上の遊歩道沿いにあった広報室の展示からは、ユーラシア大陸への出発地としての地位を取り戻したいという願いが伝わってきた。

「Seoul, the new beginning of Eurasian railway」

⑤韓国の鉄道は日本人との歴史的関わりも深い

韓国にある多くの鉄道は日本統治時代に建設されたものである。KTXの開業や新線への付け替えなどの路線改良を経て大きく変貌を遂げている韓国の鉄道であるが、それでもまだ当時の風情を感じることのできる風景がいくつか残っていて、ノスタルジーに浸ることができる。

とはいえ、私が今回旅行し、下記に紹介する中央線*1も、並行する新線の建設が着々と進行中である。今後現在の路線は廃線となり、多くの駅が廃駅となることが予定されている。古き時代の面影を感じながらの鉄道旅行も、あと数年経てば過去のものになってしまうので、今のうちに訪れることをお勧めしたい。

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新羅の古都、慶州の駅舎は赤煉瓦作りに瓦屋根である。朝鮮総督府鉄道局時代に現地の伝統様式に合わせて作られた歴史的な駅舎が現役で残っている。

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新羅時代の石塔が残る世界遺産・仏国寺の玄関口となる仏国寺駅。現在仏国寺への移動は慶州市内からのバスが主流で、この駅には1日に数本の列車が停車するにすぎないが、1935年築の駅舎が改修を経ながらもまだ現役で活躍している。

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1925年築の旧ソウル駅の駅舎。2004年よりガラス張りの新駅舎にその機能を譲ったが、旧駅の建物も文化施設やカフェとして保存利用がされている。

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1940年築の安東駅給水塔。

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どこの駅だったか忘れたが、確か「竹嶺ループ」を越える直前の駅では、水色に塗られた巨大な給水塔が印象的だった。

【まとめ】

最近韓国行のLCCはとても安く、場合によっては国内よりも経済的に鉄道旅行をすることができる。ちょっとした非日常を手軽に楽しむことができる韓国の鉄道旅行は是非お勧めしたい。今回は京釜線、中央線など比較的幹線となる路線に乗ったのだが、次回は更に色んなローカル線にチャレンジしてみたい。

Tips:韓国鉄道切符の買い方について

韓国の鉄道切符はとても手軽に購入することができる。

まず1つがKorailのウェブサイトから購入する方法だ。

http://www.letskorail.com/ebizbf/EbizBfTicketSearch.do

通常各区間の切符を買うためには「乗車券」のタブから出発地、到着地を選択して検索し、購入すればよい。「Korail パス」のタブが最初に表示されることもあるが、その際は「乗車券」のタブに切り替える。下記赤枠で記載している左側のタブである。

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全て日本語で完結することができ、とても便利である。なお、1ヶ月以上先の切符の購入はできないことには注意しよう。

ローカル線を旅する人間として少し不便なのは、こちらのサイトでは直通列車しか検索ができず、乗り換えを伴う経路検索ができないことだ。ソウル→釜山間などメジャーなルートであれば良いものの、地方都市など少しローカルな区間の場合、そもそも自分の移動したい区間の直通列車が運行されていることは少ないし、その場合最適な乗り換えルートはどうなるのか、ということを同サイトで把握することが簡単にはできない。

そんな時に便利なのが韓国の鉄道時刻表を日本式に編集して公開している上記ウェブサイトである。時刻表を読むのに慣れた人であれば、こちらの路線図と時刻表を照らし合わせて見ることで旅の計画を立て、その上で目星をつけた列車をKorail公式のホームページで検索して購入することをお勧めする。

また、韓国の鉄道切符については、各駅の窓口でも購入が可能である。行先と列車タイプ(ムグンファ、セマウルなど)や時間を伝えれば簡単に購入ができるので、一度試してみると良いだろう。

*1:ソウルと慶州を結ぶ中央線は山岳地帯を走る。1939年から1942年にかけて戦時中に建設された同線は、海上からの攻撃を避けることのできる輸送路として建設が進められたという。山岳路線らしく、給水塔や勾配を克服するためのループ線などが見られる旅情豊かな路線だが、数年以内に新線への付け替えが完了し、現在の線路はほとんどが廃線になる。