休学中の記録

韓国語を独学するための学習方法について

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去年、旅行で韓国に行く機会が何度かあった。日本と似ているけれどもどこか違う韓国は旅行先としてとても面白く、これからも何度か足を運ぶことになるのではないかと思う。そして旅行を楽しむためにはやはり基本的なハングルが理解でき、簡単な会話ができた方が便利だろう、ということで韓国語の勉強を始めてみることにした。

ただ、勉強を始めようと思い立った当初は、何から始めて良いのかわからなかった。韓国語に限った話ではないが、一般的に語学を独学で始めるにあたっては下記4点の課題があるのではないかと思う。

1. どんな教材を使うのか

あまり詳しすぎる教科書を買ってもそれをかみ砕いて教えてくれる人が周りにいなければ学習は継続できない。また、勢いで質の低い教科書を買ってしまうと学習効率に大きく影響し、時間を無駄にしてしまう。取っ付きやすく、かつ体系的な教材を選ぶことが重要だ。

2. どうやって学習の継続性を持たせるのか

独学の場合、出席必須の授業があるわけでもないので、知らず知らずのうちに学習を後回しにしてしまう傾向にある。そして1週間、2週間と間が空いていくと、ますます学習に復帰することが難しくなっていく。

3. どうやって発音を習得するのか

独学する場合、ネイティブの友人や先生が周りにいるケースは稀である。語学は自分の耳で聞いて口に出すことで初めて習得ができるが、そうした機会を作りにくい。

4. 語彙をどのようにして覚えていくのか

大学の第二外国語や語学学校では定期的に単語テストがあり、無理矢理語彙を覚える機会がある。しかし独学する場合、自分で単語帳や小テストを作成するのは正直面倒で、語彙数を伸ばす機会が少なくなりがちである。結果として表現の幅が広がらない。

...このように独学での語学勉強には様々な障壁があるのだが、そんな中でも色々試行錯誤を重ねた上で、ある程度の勉強方法が見えてきた。そこで、実際に役に立った教材や勉強方法を以下に紹介していこうと思う。

総合的な教材について

Coursera 

Courseraは様々な大学や企業が提供するコースをオンラインで受講できる教育サービスだ。韓国語については「First Step Korean」「Learn to Speak Korean」という講座を延世大学が出しており、聴講だけなら無料で利用することができる。

10分強の講義動画を見た後、小テストで理解度をチェックする方式で、よくまとまっていて学習しやすい。全編英語だが、講師の話す速度はゆっくりで字幕も表示させることができるので、概ね無理なく理解できる。

Courseraの良いところは学習スケジュールを1週間に2回、のように自分で設定することができることだ。講座終了までのゴールが見えやすいので継続しやすい。

まいにちハングル講座

NHKのラジオ語学講座。ストリーミングサービスで前週の5回分を聞くことができる。お勧めは通勤通学中の時間を活用して電車・バスの中でテキスト片手に聞くことだ。時間を有効活用できるし、毎日15分の継続で入門から無理なく初級、中級とステップアップすることができる(だろう)。テキストは大きな出費にはならないので、買った方が良いと思う。

NHKラジオまいにちハングル講座 2020年 06 月号 [雑誌]
 

テレビでハングル講座

NHKで毎週水曜日に放送されているので、録画して週に1回、ソファに寝そべりながら見ている。1週間に1回、30分なので継続しやすい。私は「まいにちハングル講座」の補完版として視聴しているので、テキストは購入していない。

その他

Youtubeの動画などを参考にすることもできるが、必ずしも体系だった内容にはなっていない。このためYoutubeだけに頼ると断片的な学習となってしまうだろう。あくまで補完教材、あるいは娯楽としてメインの教材と併用して楽しむのがおすすめだ。学習初期に色んな動画を参照したが、かなりわかりやすくて理解の助けになるものもあれば、自分のレベルに合わないものもあったりして、自分に適した動画を探すのが困難だった。

語彙の学習について

日中韓共通語彙集

https://tcs-asia.org/jp/data/publications.php


韓国語の特徴は漢字語が多いことだ。漢字語の意味は日本語と共通していることが多く、ハングル一文字が漢字一文字に相当しているので、その対応関係を覚えればどんどん語彙が広がっていく。

例えば韓国語で「登山」=「등산」だが、2文字目の「산」の部分が「山」に相当していることを覚えれば、それに紐づけて山岳=「산악」、釜山=「부산」というように単語を覚えるのが容易になっていく。

上記にリンクを貼ったTrilateral Cooperation Secritariatが出している「日中韓共通語彙集」は、日本語と中国語、韓国語で共通する漢字語を一覧にしたものだ。日本人にとって非常に覚えやすいこれらの語彙を先に学習すれば一気に語彙を積み上げることができるだろう。漢字語という取っ掛かりがある点で、韓国語の勉強は日本語話者に大きな学習アドバンテージがあるのだ。*1

ANKI

中高生の時に単語カードのようなものを作った人も多いのではないかと思う。そんな単語カード式の学習をより効率的かつ効果的にできるツールがANKIだ。カードを登録していくと、自分の記憶度に応じた頻度でカードを提示してくれるので、覚える必要のある単語を集中的に学習していくことができる。使い方を紹介しているブログやウェブサイトがたくさんあるので、適宜参照してみると良いと思う。

(補足)独学以外の選択肢

私はあくまで趣味的に学習をしているので、外部の教室等は利用せず独学で隙間時間に勉強している。けれども、中にはもっと時間をかけてしっかりと勉強したい(そして、できればあまりお金はかけたくない)という人もいるだろう。そんな人にお勧めなのが、世宗学堂だ。

宗学

宗学堂は駐日韓国文化院が開校している韓国語コースだ。半年間、週1回90分の全20回ほどの授業で、受講料は3万円強なので、かなりお得なコースと言ってよいのではないかと思う。講師も経歴を見る限りかなりプロフェッショナルな人が担当してくれるようだ。学習仲間もできてモチベーションもあがり、通ってみるときっと面白いのではないかと思う。

私は通っていないが、もし東京在住者であれば一つの有力な選択肢に入るだろう。

今回紹介した以外にも色んな教材や資料があるのでないかと思う。また、勉強方法や適した教材は人それぞれなので、あくまで一つの参考としていただければ幸いだ。

*1:実はベトナム語も同様に漢字語が多く、漢字をキーに覚えていくことができる単語が多い。ただしベトナム語は中国語と同様に声調がある言語なので、学習には一定の難度がある。日本人にとっては声調のない韓国語の方がはるかに勉強しやすいはずだ