休学中の記録

台湾マンゴーの季節

台湾への果物旅行について

台湾は「果物王国」と言われるほど果物が豊富だ。バナナ、パイナップル、パパイヤ、グァバ、蓮霧、釈迦頭、文旦(柚子)などの熱帯果実はもちろんのこと、高い山脈が連なるため山地の冷涼な気候を活かしたリンゴ、梨、桃、柿などの温帯果実栽培も盛んだ。およそ台湾で食べられない果物は無いと言っても過言ではないだろう。

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台湾の街角には時折このような大規模なフルーツ店がある。物珍しそうに果物を眺めていると、お節介な歐巴桑(おばさん)の買い物客が話しかけてきて新鮮な果物の選び方を(どこまで信じて良いのかわからないものの)教えてくれたりする。

さて、そんな台湾で数ある果物の中でも王様的な存在なのがマンゴーだ。マンゴーの産地は台湾の南部に集中している。台湾南部には懐かしい風景の街がたくさんあり、旅行先としてもとても魅力的な場所だ。ローカルな朝食店で朝ごはんを食べ、名所旧跡を訪れ、そして観光の合間に旬のマンゴーを心ゆくまで食べる、というような旅も良いのではないだろうか。

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台南・安平古堡

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屏東県東港の東隆宮。東港は海鮮も楽しめる港町

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高雄・光華夜市のフルーツドリンク屋。

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今年の台湾マンゴー

...今年も台湾に是非行きたいと思っていたのだが、新型コロナウイルスの流行もあり、往来が自由化されるのがいつになるのか見通しがつかない状況が続いている。そんな中、去年東北旅行を共にした台湾の友人からマンゴーを送ってもらった。

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箱を開けると艶々のマンゴーが12個も入っていて思わず感嘆の声を上げてしまった。早速届いたその日から妻と2人で毎日1個ずつ食べることに決め、色んな食べ方を試してみることにした。

マンゴーの切り方

よくアイスクリームのパッケージなどに描かれているような、さいの目状に切り込みの入った綺麗なマンゴーの切り方をやってみたかったので、youtube動画を見てチャレンジしてみた。

ドライマンゴーは何度も食べたことがあるが、生鮮マンゴーを食べるのはよく考えると10年ぶりくらいかもしれない。マンゴーについては全然知識がなく、もともと中にアボカドのような丸い種が入っていることを想像していたのだが、実際には平たい石のような種が入っている。その種の方向に合わせて、種が切り口に干渉しないように1/3ずつの幅でカットするというのがポイントのようだ。

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もう少し細かく切った方が割れ目が綺麗に出てくるかもしれないが、悪くはない。

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1個目のマンゴーは、半分はそのまま、もう半分はバニラアイスクリームに乗せて食べた。残った種の周りの果肉はスライスしても良いし、あまり行儀は良くないがそのまましゃぶるのも悪くない。

アイスクリームは好みもあるかもしれないが、ハーゲンダッツ(バニラ味)に合わせると意外とバニラ味が強かった。マンゴーの味をより楽しむには、素朴なミルク風味のアイスクリームと合わせると更に良いかもしれない。

またアイスクリームのみならずクレープを作って中に入れたり、色んなスイーツと組み合わせても良いので、楽しみ方は無限大と言えるだろう。

台湾マンゴーに関する情報

良い機会なので台湾マンゴーについて基本的なデータや流通構造を調べてみることにした。以下、古関(2016)を参考にしつつ、統計データも参照しながらまとめてみる。

台湾マンゴーの生産地⇒南部がほとんど

まず台湾のマンゴー生産は南部がほとんどを占め、『農業統計年報(2018)』によると、台南市(61,382トン)、高雄市(16,197トン)、屏東県(56,796トン)で合わせて台湾の国内生産量の9割以上を占めている。

台湾マンゴーの季節はいつなのか⇒6月から7月

台湾政府の輸出入統計(『中華民國進出口貿易統計』)で日本向けの鮮芒果(生鮮マンゴー)輸出量を確認すると、数字の記載があるのは5月~8月のみで、うち6月と7月の2ヶ月で9割5分以上を占めていた。つまり日本市場向けの台湾マンゴーは概ね梅雨の時期に集中的に出荷されていると考えて良さそうだ。

台湾マンゴーの種類⇒アーウィン種がメイン

台湾から日本に輸出されている主な品種はアーウィン(Irwin)種と呼ばれるもので、宮崎マンゴーや沖縄マンゴーなど、日本で消費されるマンゴーの多くはこの種類のようだ。果肉が柔らかくて甘みが強いのが特徴で、皮が赤いので、「アップルマンゴー」と呼ばれることもある。

台湾ではアーウィンを音訳して「愛文」というように表記している。日本市場向けに出荷する場合は糖度、果皮の赤い面積の割合などに基準があり、厳格な条件をクリアしたマンゴーが輸出されている。

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台湾の日系百貨店で贈答用のものを注文、発送することができる。
台湾マンゴーの農園登録制度とトレーサビリティ

今回送られてきたマンゴーには1個ずつにシールが張られ、生産者の名前と追跡番号(追溯碼)が記載されていた。古関(2016)によると、日本向けのマンゴーには生産者に個別の追跡番号が与えられているという。そうすることで品質や残留農薬等で問題が発生したときに追跡したり、栽培履歴を確認したりすることができる。

また、台湾のマンゴー輸出業者は日本市場向けマンゴーの供給園とその生産者名簿などをマンゴー園が所在する県(市)政府に提出し,毎年2 回の審査を受けなければならないという。

このように台湾では国を挙げて安心安全でおいしいマンゴーの供給に努めているようだ。機会があれば是非台湾マンゴーを楽しんでみてはいかがだろうか。

参考文献

古関喜之 2016.ポジティブリスト制度導入後の台湾における日本向けマンゴー産業の展開. 地理学評論 89‒1: 1-22.

https://www.jstage.jst.go.jp/article/grj/89/1/89_1/_pdf/-char/ja