休学中の記録

伊勢志摩の海と自然

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朝は目の前で太陽が昇り、夜は月が昇る。早朝や夜の時間帯は雑音が少ない。「ザザーン、ザザーン」という静かな波の音だけが耳に心地よく響く。

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昼になるとシュノーケルを持って海に出た。猛暑の中で気温は高いが、海水温は意外と低い。海に入ると体温が一気にサーっと引いていくのを感じるが、やがて体が水温に慣れてくる。沖の水が入り込む場所は水温が低くて長居できないが、その分透明度が高くて魚影が濃い。海中では大小の魚が思い思いに泳いでおり、時折鯛ほどの大きさの魚が目の前を横切ることもある。

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海辺には海女さんが使う簡易小屋がある。この時期、小屋の周囲はタカサゴユリの花に囲まれていた。地域にもよるが、海女さん達は冬の極寒の時期でも潜ることがあるそうだ。その日の仕事が終わると、小屋の囲炉裏に火を炊いて、仲間と一緒にその日採れた海産物を焼いて食べる。そして四方山話に花を咲かせる。そんな生活の様子をあるテレビ番組で見たことがある。

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海岸からの帰り、遊歩道を歩いていると、足下でガサガサ、バサバサという音がした。よく見ると、不運にも蜘蛛の巣に引っかかってしまったモンキアゲハが、懸命にもがいていた。両翅がボロボロになってなお逃れようと必死だが、もがくほどに糸が絡まっていかにも分が悪い。

蜘蛛は勝ち誇ったように糸を操りながら、まさに捕食を開始しようとしている。

日本で見られる蝶の中で最大級といわれるモンキアゲハも、小さな蜘蛛ごときにやられてしまうんだなぁと思うと可哀想になるが、一方で飛翔ルートを見定めて網を張り、待ちに待ってようやく超大物をしとめることに成功したこの蜘蛛にとってみれば、人生、いや蜘蛛生最高の瞬間に違いない。

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モンキアゲハ Papilio helenus

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ツマグロヒョウモン Argyreus hyperbius

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帰り道、 二見興玉神社に寄った。江戸時代、伊勢神宮に参詣した人たちの中には御師の案内のもと、付近を遊覧する人も多かったという。二見浦はその中でも代表的な景勝地だった。

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ちょうど干潮の時間帯だったのか、夫婦岩は半分陸地化していたが、写真撮影をする観光客が絶えなかった。夫婦で記念写真を撮るにはとても良い場所だ。

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イソヒヨドリ Monticola solitarius

広い海を見て何もかもを忘れて無になって、その日その日を一生懸命生きる生物の姿に元気をもらって、自分も何とかまた這い上がれるような気がした。