休学中の記録

旧朝倉家邸宅の散歩など

9月のとある休日、久しぶりに姉と会って一緒に代官山の旧朝倉家住宅まで行ってきた。姉も2年前から東京に住んでいるものの、機会を見つけなければ案外会わないもので、コロナの外出規制などの影響を受けているうちにいつの間にか年末年始以来顔を合わせていなかった。今回偶然予定が合ったのはとても運が良かった。

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旧朝倉家住宅は大正期の邸宅で、庭園には目黒川に落ち込む崖線の地形をうまく活かして様々な木々が植えられている。散策道には方形、円形の異なる形、異なるパターンの踏み石が配置されていて、一つ一つたどりながらゆっくり歩いた。

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東京は自然の地形を活かした庭園が多い。昔、まだ学生の頃に母と訪れた旧古河庭園武蔵野台地の高低差を活かした作りで、台地の上が洋館と西洋庭園、下が日本庭園という構造になっていた。そんなことも懐かしく思い出した。

また紅葉の頃に来ようかなぁと思いながら旧朝倉家邸宅を出た。代官山は学生時代から何度か訪れていたのに、こんな素敵な場所があることは姉に教えてもらうまで知らなかったので良い機会になった。

その後、蔦屋書店に寄って、旅行書や児童書のコーナーをウロウロしてから一緒に沖縄料理の昼ご飯を食べて別れた。

...後になって、「20ヶ所以上蚊に刺された」と姉からLINEがあった。私は全く刺されなかったので、姉は私の身代わりになってたくさん刺されてくれたんだろうと思う。自分より刺されやすい人が側にいてくれると、どんな虫除けスプレーよりも効果があるのでまことにありがたい。

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家に帰って今度は自転車で少し出かけることにした。公園には百日紅の花が綺麗に咲いていた。辺りは相変わらずセミの鳴き声がうるさいが、ふと通りかかった遊歩道脇の木から少し尋常ではない「ジジジジジ........!!!!!」という大きな鳴き声がしたので見てみるとカマキリに捕らえられたアブラゼミが逃れようと必死にもがいていた。

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カマキリは鋭い刃を持ったカマでアブラゼミの両翅を完全に押さえつけており、勝負はついているようだった。残酷な話だが、アブラゼミは生け捕りにされた状態でカマキリに頭から食われていき、食べ残しはやがてアリにでもかき集められ、やがて土へと還っていくのだろうと思われる。

今までセミの鳴き声を聞いても「あー、夏やなぁ...」としか思わなかったが、これからはセミの鳴き声を聞くたびにその短い生涯の悲哀に思いを馳せることになりそうだ。

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家に帰って妻に「今日な、すごいの見たで。ほら、カマキリってな、セミ食べんねんで。びっくりしたわ。」と言うと、昆虫嫌いの妻にしては意外なことに、物知った顔で「当たり前やん」との返答だった。

そして「成語を一つ教えてあげる」と、「螳螂捕蟬,黃雀在後」という故事成語を教えてくれた。カマキリがセミを捕食をしようと狙いを定めている背後で、鳥がそのカマキリを捕食しようと狙っていて...という意味で、つまり目の前の獲物(利益)に気を取られて、しのびよる危険に気づかないことを戒める内容のようだ。

中国の故事成語は人生論でもあり、またそれを通して食物連鎖まで学ぶことができるのは実に面白い。

...9月に入ると、カマキリにやられてしまったのか、それとも自分で力尽きてしまったのか、あれだけうるさかったアブラゼミやミンミンゼミなどの声はどんどん小さくなり、代わりにツクツクボウシの声が大勢になってきた。そしてそのツクツクボウシの声も9月中旬~下旬にかけて日を追うように小さくなってきた気がする。いよいよ本格的な秋の訪れも近いようだ。