休学中の記録

台湾の中秋節と柚子/文旦

台湾では、日本と比べて旧暦が生活文化の中に深く根付いている。春節旧正月)は言うまでもないが、旧暦の8月15日(中秋節)も連休となり、各地で賑わいを見せる。今年は10月1日が中秋節で、コロナ禍で海外旅行が叶わない中、緑島などの国内の離島に人々が押し寄せたという。

さて、そんな中秋節の時期に欠かせない果物が柚子/文旦である。この柚子、文旦というのは台湾では同じ果物を指す言葉として使われているが、印象として口語で話す時は「柚子」、商品名としては「鶴岡文旦」のように「文旦」と表記されているように思う(もしかしたら異論があるかもしれないが)。

いずれにせよ日本の柚子や文旦とは別の果物で、もちろん個体差はあるものの一つで500gほどありかなり大きい。食感はグレープフルーツに近く、苦みと酸味はほとんどなくて優しい甘みがあるのが特徴だ。

柚子/文旦の食べごろ

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下記の記事によると、皮がツルツルで光沢があるものより、むしろしばらく置いておいて、皮に皺ができて照りがなくなった頃が食べごろのようだ。その方が過剰な水分が抜けて風味が増すらしい。

熱帯果実なので、保存する際は冷蔵庫に入れるとすぐにダメになってしまう。常温で風通しの良い日陰に置いておくのが良い。妻の話では保存場所さえ間違えなければ1ヶ月くらい置いていても平気だという。また、ある友人は「何ならクリスマスの時期まで置いておくことだってできる」と言っていたけど本当だろうか。

柚子/文旦の剥き方

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剥き方にはすこしコツがいるが、「文旦 中秋」などでYoutubeで検索してみると良いだろう。外の皮は剥きやすいが、それぞれの房を包む白皮を丁寧に剥こうと思うとそれなりに時間と労力がかかる。ただし実が大きく崩れにくいので慣れると綺麗に剥けるのは嬉しい。少なくとも日本の八朔や文旦よりは剥きやすい。

また、大きめの文旦であれば皮を帽子のようにして遊ぶこともできる。

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柚子/文旦の産地

産地としては台南の麻豆、花蓮の鶴岡などが有名だ。収穫時期は8月末~9月上旬頃だというが、台湾ではまだまだ日光の強い酷暑の時期なので重労働になる。日焼けを避けるために風通しの良い長袖長ズボンの服と帽子で全身を覆い、大汗をかきながらの作業になるようだ。

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我が家では今年、妻が職場の台湾人の友達にもらったという文旦を食べた。夜、外は月が綺麗で、中秋の名月を見ながら文旦を食べると、しみじみと秋だなぁという気分になった。

伝統的には中秋節といえば月餅、なのかもしれないが、個人的にはあのこってりした甘さがあまり好きではない。また、何といっても南国・台湾らしいのは文旦だと思うので私にとって台湾の中秋節と言えば文旦の思い出が強い。

日本ではなかなか手に入らないが、9月~10月に台湾に行く機会があれば是非スーパーや果物屋さんで購入してみてはいかがだろうか。