休学中の記録

きのこの観察記録とおすすめ書籍

前回の記事では、きのこ観察の魅力について紹介したのですが、ここからは私が実際に観察したきのこを紹介していこうと思います。

 

奥深いきのこ観察の世界

今回の記事を書くにあたっては、それぞれのきのこの写真に一応それかなぁと思われる名称も付記したのですが、正直自信はありません。というのも、前提として(特に)きのこについては画像だけで同定することができないからです。例えば下写真のきのこですが、大体の見当はつきますが、私のスキルでは種レベルでの確信は持てません。

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この段階では、枯れ木に生えているスギタケ属(Pholiota)のきのこだなー、ということくらいしか確信が持てませんでした。

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洗ってみると顕著に粘性が出たので、ヌメリスギタケモドキかヌメリスギタケ(いずれも食用)と判断ができましたが、それ以上の同定については100%の確信はまだ持てていません。

真面目に同定しようとすると、現物を様々な角度から見て、触って、匂いを嗅いで、時には味見をして初めて判断が可能になりますし、また更に正確を期すには顕微鏡で観察したり、遺伝子の塩基配列を確認したりすることで初めて正確な同定ができるようになるのだそうです。

ですので、素人の私が図鑑を見比べながら外観レベルで「判断」した下記の信憑性は低いですし、参考程度に割り引いて見ていただければなぁと思っています。

観察したきのこ

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オオキノボリイグチ Aureoboletus mirabilis

北八ヶ岳、白駒池の周りのコメツガの森林で見つけました。かなり大型のきのこで、力強く生えてくる姿が印象的ですが、傘の明るい斑紋が少しチャーミングで可愛いです。

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ズキンタケ Leotia lubrica 

 北八ヶ岳の白駒池から白駒湿原に向かう途中で見つけました。

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手前の黄色いきのこはハナガサタケ(Pholiota Flammans)のように見えますが、確信は持てません。北八ヶ岳の森は枯れ木や倒木にびっしりと苔が生え、その上に様々なきのこが生えていて見ごたえがあります。

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ハナイグチ Suillus grevillei 

カラマツ林に生える代表的な食用キノコで、信州では「ジコボウ」と呼ばれ強い人気を誇っているそうです。乗鞍高原の散策路上にたくさん生えていました。

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だんだら模様の柄と光沢のある傘からタマゴタケ(Amanita caesareoides)かなーと思ったのですが、自信がありません。タマゴタケであれば根元の白いツボが特徴的なのですが、写真を撮った時はそこまで目が行っていなかったので、今となっては確認ができません。

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カベンタケモドキ(Neolecta irregularis)か、カベンタケ(Clavulinopsis pulchra)のどちらかだと思われます。まるで珊瑚のような質感・形状ですが、実際、英語圏ではこのようなきのこを総称して「Coral fungi」と呼んでいるようです。他の「Coral fungi」の例としては、ホウキタケ、カエンタケ、ソウメンタケ...などがありますが、「珊瑚⇔箒、火焔、素麺」という対比は日本人と欧米人の発想の違いを表していて面白いです。

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ニカワハリタケ Pseudohydnum gelatinosum

北八ヶ岳の亀甲池付近で見つけました。透明感があってゼラチン質のきのこで、ポン酢で食べるとおいしいそうです。あまり他に似た毒きのこなどは無いということなので、今度見つけたら是非試してみたいと思っています。

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オシロイシメジ Clitocybe connata

上高地で見かけました。図鑑で見る限り形態的な特徴はほぼオシロイシメジで間違いないと思うのですが、「癖のある匂いがある」とのことなので、匂いを嗅いでおけばより確信を持てたかもしれません。

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ホコリタケの仲間(Lycoperdon)だと思います。個人的には可愛いなーと思うのですが、トライポフォビア(集合体恐怖症)の人が見ると寒気がするかもしれません。上高地で見かけました。

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傘の形や縁の条線を見る限り、クヌギタケ属(Mycena)ではないかなーと思うのですが、自信がありません。また、仮にクヌギタケの仲間であっても、種レベルでの肉眼での見分けは難しいと思われます。きれいに束生しているのが印象的で、小さなキノコですが、カメラに収めると様々な高さのビルが立ち並ぶ都市のスカイラインが連想されました。青森県下北半島で見かけました。

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ムキタケ Sacromyxa edulis 

青森県下北半島で見かけました。ブナ帯の晩秋の代表的なきのこで、一度に大量に採ることができるため食料として広く利用されてきたそうです。毒キノコのツキヨタケと紛らわしいので、個人的に初めて食べるのは詳しい人と一緒の時にしようと思います。

こうやって写真を並べてみると、多様多様な色と造形を持つきのこの世界の魅力を改めて感じます。まだまだ観察慣れしておらず、自信のないきのこがたくさんあるので、是非これから色んな観察会に参加しようと思っています。

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