私達夫婦は週末はダラダラしがちで、2日間家の中に籠りっきりなことも珍しくありません。週末の過ごし方の理想としては、1日はどこかに出かけ、もう1日は買い物に行って平日用の料理を作り置きして、余力があればジムやプールで運動をする...といった感じなのですが、実際にそのような充実した週末を過ごすのはそう簡単ではありません。
せっかくそのつもりで計画を立てていても、結局朝起きられずに「やっぱり二度寝しようか」ということになって、結局ダラダラモードの週末に突入することも少なくはないです。猿島行きも、もともとは5月頃に計画していたのですが、少し風が強い日だったのを言い訳に結局先延ばしにしていました。でも今週はダラダラモードの誘惑を振り切って、何とか計画を実行に移すことができました。
横須賀市街から猿島へ
横浜駅から快特で横須賀中央駅まで約25分。猿島までの船が発着する三笠ターミナルまではそこから徒歩10分強です。
ランチはターミナルまで歩く途中にあった「天丼の岩松」で海鮮丼にしました。丼の主役は地物の巨大な穴子で、フワフワな食感が楽しめます。
お腹がいっぱいになった後は、13時半の船に乗って島に渡ります。船が出発するまで三笠公園で紫陽花を見ながら時間をつぶしていると、水辺ではシオカラトンボやショウジョウトンボなどが観察できました。ショウジョウトンボの雄は数ある赤いトンボの中でも特に鮮やかで透明感のある赤色が綺麗です。
猿島は横須賀の目と鼻の先にあり、三笠ターミナルから10分弱であっという間に島に着いてしまいます。
土木遺産としての猿島
猿島は明治期から建設された東京湾要塞の重要な一角を占めていて、島内には煉瓦積みの兵舎、弾薬庫、砲台、トンネルなどの遺構が残されています。
島に上陸すると、切り通しの道に沿って兵舎や弾薬庫が並びます。兵舎は入り口から中を窺うことしかできないのですが、弾薬庫は中に入って内部の構造も含めてじっくり見ることができるので面白いです。
弾薬庫の壁には灯り取りの窓が設けられています。そして中央部には「揚弾井」と呼ばれる砲弾を弾薬庫から引き上げる設備の跡が残っています。
現代の猿島では実際の砲弾を見ることはできないわけですが、揚弾井を見上げるだけで砲弾の大きさや重さを想像することができます。
そして島の遊歩道の中でのハイライトはフランス式の煉瓦積みで造られたトンネルです。トンネルの中は中間部分が一番高く、両出口に向けて緩やかに下がっていくという構造になっているのですが、それは防御を考慮してあえて見通しを悪くするという要塞特有のものなのだそうです。
猿島の動植物
猿島に来る人の99%以上は、土木遺産としての魅力を期待して上陸するのではないかと思います。一方で猿島には「東京湾最大の自然島」としての側面もあり、行く先々で少し動植物に目を向けるとまた違った楽しみ方もできます。
例えば磯に下りて岩をひっくり返してみるとたくさんのカニ達を見つけることができます。今回私が見つけたのは恐らくヒヅメガニではないかと思うのですが、先がスプーン状になったハサミが特徴的でとてもかわいかったです。
今の時期は遊歩道沿いで紫陽花が綺麗です。また、紫陽花に比べると随分地味ですが、ヤブミョウガの清涼感のある白い花も見られました。
そして柳のような葉にイチゴのような実の「ヤナギイチゴ」は、たくさんの果実をつけていました。先日真鶴の海岸でも見たのですが、神奈川県の海岸では比較的広く見られるのかもしれませんね。
島内にはシダ植物もよく目立ち、要塞の煉瓦積みや石積みとの組み合わせがとてもチャーミングです。
今回は短い時間ながら、猿島を色々な側面から楽しむことができました。機会があれば、猿島と同じように要塞の島である大阪湾の友ヶ島にも行ってみたいです。