休学中の記録

富士山御殿場口の双子山とフジアザミ

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先週末、随分久しぶりに富士山に行きました。山頂には行かなかったのですが、視点を変えてこれまで行ったことのなかった御殿場口、須走口の登山口の周辺を歩きまわりました。

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旧福浦灯台のベンケイガニ

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以前能登半島をドライブした時の話です。輪島の千枚田能登金剛といった景勝地を周り、金沢へ帰る途中で日本最古の木造灯台と言われている旧福浦灯台を見に行きました。まずは集落の駐車場に車を停め、港の入江を見下ろすように立っている灯台に向かう道を歩き始めました。道は思っていたより狭く、時折両側から草が生い茂る場所さえあったのですが、軽い探検気分を感じながら歩いていきました。

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さて、そんな道の途中で、少し湿った側溝に何か生物がたくさん動いているのが目に入りました。しゃがんでよく見てみると、脚に長い毛をたくさん生やし、大きなハサミを持った茶色い蟹の姿がありました。そしてその横には姿のよく似た、色の真っ赤な蟹が何と10匹以上も連なって歩いていました。

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初めて見る蟹の姿に我を忘れて思わず手にとってみると、想像をはるかに超える力で指をハサミで挟まれてしまいました。痛さに思わず放り投げたくなりましたが、何とか堪えながらハサミをゆっくり外し、持ち方を変えると随分おとなしくなってくれました。蟹のしばらくその姿を観察してから、また元いた側溝にそっと戻しておきました。

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本来の目的を忘れて蟹に夢中になり、ふと我に返ると足を随分蚊に噛まれていることに気づきました。気づいてしまうと急に体が痒さを感じるようになったので、気を紛らわすように早歩きで灯台を目指しました。

旧福浦灯台は日本最古というだけあって随分かわいい灯台で、灯台というよりはむしろ「和洋折衷の常夜灯」と言った方が良いような、そんな感じでした。そして帰り道もまた側溝にたくさんの蟹が歩いているのを横目に、駐車場までの細い道を歩きました。

さて、後で図鑑で調べたのですが、今回見かけた蟹は茶色っぽく見えたのがクロベンケイガニ、真っ赤なのはベンケイガニのようです。海に遊びに行く時、磯の蟹はよく出会えるのですが、ベンケイガニの仲間のように陸地の環境を中心に暮らす蟹を見ることはこれまで少なかったので、とても印象深い出会いになりました。

尾瀬ヶ原のトンボ

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尾瀬ヶ原ミズバショウニッコウキスゲ、草紅葉など、季節に応じて様々な植物の移り変わりを楽しめますが、それに加えて色々な生き物が見られるのも魅力の一つです。

7月中旬に訪れた時は、湿原を飛び交うトンボ達の色鮮やかさに目を奪われました。

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「日本最小のトンボ」として知られるハッチョウトンボの♀はとても鮮やかな赤色をしています。写真で見るとそんなに小さく見えないかもしれませんが、体長は2センチほどしかありません。

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池塘の周りには胴が細く繊細なイトトンボの姿が目立ちます。尾瀬にはとても涼しげな青色をした北方系のトンボがたくさん見られます。

エゾイトトンボ、オゼイトトンボ、ルリイトトンボなど様々な種類が生息しているそうなのですが、こちらの写真はルリイトトンボでしょうか。ヒツジグサの葉の上にとまっていました。

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こちらは恐らくオゼイトトンボだと思うのですが、産卵中の個体もたくさん見られました。イトトンボの仲間はこうして連結しながら植物の上に産卵することが多いそうです。

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池塘の中にはイモリの姿も見ることができました。

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アルパこまくさで車中泊しました

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先月初め、秋田駒ヶ岳に登りました。

八合目までの登山道路はシーズンになるとマイカー規制がかかるのですが、その自動車とバスの乗り換え地点となっている場所に「アルパこまくさ」という素朴な温泉施設があります。周囲の山々の展望が開けていて、広い駐車場からは夜は満点の星空、朝は深い青色の水を湛える田沢湖を望むことができます。

今回は朝一に「アルパこまくさ」からバスに乗って八合目へ向かうため、駐車場で車中泊する計画を立てました。

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まずは盛岡の食道園で冷麺と焼肉で腹ごしらえし、レンタカーで一路西へと向かいます。県境を越え、田沢湖駅近くのスーパーで食料を調達してから外に出ると、それまでどんよりとしていた雲が晴れて青空が覗きました。

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広々とした田園風景と優しい山々。目指す秋田駒ヶ岳はまだ雲の中ですが、この景色を見ただけでもはるばる秋田まで来た価値があったあったなぁと思いました。

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まだ夕暮れまで時間があったので、田沢湖を車で一周することにしました。初めて見た田沢湖は吸い込まれそうな青色をしていました。

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田沢湖東岸には広々とした浜が広がっています。サンダルのままで湖水に足をつけるとひんやりとしてとても気持ち良く、湖岸に吹く夕方の爽やかな風にはニュージーランド南島の湖畔の町Te Anauを思い出しました。

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日が沈む前にアルパこまくさへ移動し、展望風呂からの景色を楽しみながら一日の疲れを癒し、外に出るとだんだん空が暗くなってきました。車内に戻ると特にすることも無いので、リクライニングをめいっぱいに倒してからKindleに入れてきた小説を読みました。真っ暗な車内を薄く照らすKindleの光。時々外に出ると空気はひんやりしていて星が綺麗でした。駐車場の車はせいぜい5台程度で、みんな早寝早起きなのか、とても静かな夜が過ぎていきました。

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そして目を覚ますと清々しい朝がやってきました。

もう登山出発前から充実感に満たされてしまうようなロードトリップと車中泊でした。

 

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日本と台湾のフェーン現象について

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三連休はとても暑い日が続きました。この時期にはよくあることですが、山を越える風が高温になって吹き降ろす「フェーン現象」によって、全国的に見て北陸地方をはじめ日本海側の気温が特に高かったようです。

さて、このフェーン現象ですが実はお隣の台湾でもよく知られています。台湾ではフェーン現象のことを「焚風(fénfēng)」と言うのですが、「焚風」の文字は現地のニュース記事でも頻繁に目にします。字面から暑さが想像しやすく、「フェーン(Föhn)」の音訳もしっかりと意識されているのでとても覚えやすい訳語です。

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図:台湾東部にフェーン現象をもたらす南西風

日本の場合、フェーン現象と言えば特に北陸地方や東北地方の日本海側が思い浮かびますが、台湾で「焚風」と言えば台東などの東部が代表的です。台湾の夏季は南西季節風が卓越するのですが、風が中央山脈を越えて吹き降ろすと風下側の東部では気温が上昇します。

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また、台湾東部でフェーン現象が特に顕著となるのは、台風や前線が台湾北部を通過するケースです。つい最近も7月末の台風6号の通過に伴って顕著なフェーン現象が発生し、台東県の太麻里では史上最高気温となる40.6度を記録しました。

上図は太麻里で40.6度を記録した7月25日の天気図*1です。天気図を見ると、台風6号が台湾北東部の沖合を北上しています。台風が南から暖かい空気を運び、そしてその台風に吹き込む強い南西風が中央山脈を越え、熱風となって東部に吹き下ろしたことが想像できます。

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台湾の中央気象局のウェブサイトには、気象観測点で観測された歴代の高温記録が掲載されていますが*2、そこでもTOP3は台東やその南の大武に占められ、15位以内で見ても台東・大武が半分以上ランクインしています。そしてこれらの記録のうちのほとんどが、台風や前線の通過に伴ってフェーン現象が発生したパターンとなっているようです。*3

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台鉄の車窓(台東県・太麻里付近)

さて、話を日本に戻しますと、日本のフェーン現象もまた、台風や前線に絡んでいることが多いです。特に夏場に台風が日本海~大陸のあたりを北上し、南に勢力の強い太平洋高気圧が居座っている気圧配置はフェーン現象が発生しやすい典型的なケースです。

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1933年7月25日、山形で40.8度の記録的高温を記録した際の天気図

日本と台湾は緯度の差こそあれ、四方を海に囲まれ、高い山脈があり、季節風や台風、前線の影響を受けるという点では共通していて、結果としてフェーン現象をはじめ共通する気象現象が見られるのは面白いところです。

*1:気象庁ウェブサイトの「過去の天気図」より転載

*2:2021年7月25日のデータはまだ入っていないようです。

*3:台北も上位に名を連ねていますが、こちらは太平洋高気圧に覆われた際に盆地の地形的な効果で高温になりやすいことが背景にありそうです。