休学中の記録

自由になれた気がした嘉義駅

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2021年12月、妻の出産を前に束の間の自由時間をもらい、嘉義へ旅行した。台北駅を出発した自強号は、3時間半をかけて嘉義駅に到着した。1933年築の嘉義駅は、台湾鉄道の現役の駅舎として活躍している。その駅舎のホールを出て広場に出て、空を見上げると、熱帯特有のオレンジ色のグラデーションの夕焼け空が広がっていた。夕方の涼しい風が頬を撫で、それが絶妙に心地良い。あー、南の街にやってきたなぁという感慨がある。

「自由やなぁ...」としみじみ思った。そして嘉義の空気を深く吸い込んだ。私はこの日、ようやく3週間にもわたる隔離期間を終えたのだった。

日本を出てくる時、職場の人達には本当に申し訳ないのだけれど、自分の中では解放感に満ちた気分だった。思い通りにならないことが多い仕事からしばらく離れられるのだから。しかし予測はしていたのだが、台湾に来てみると隔離期間で一歩も外を出られない日々が続き、これから初めての育児を迎えるにあたっての不安も募り、日に日に気持ちが鬱屈していった。

だから、ようやく移動の自由を取り戻し、自分の時間をもらって嘉義に到着した時、私はこの自由が心の底から嬉しかった。そして駅前広場をひっきりなしに行き交う人やバイクの喧騒さえも、愛おしく感じたのであった。

しばらくすると、友人の父親がバイクで駅前まで迎えに来てくれた。私が後ろに座ると、バイクは涼しい風を切りながら熱帯の夕方の街を疾走した。

台湾の映画やテレビドラマには、よくバイクで街を走るシーンが出てくる。街の様々な色のライトが道路を照らし、その中を主人公と友人或いは恋人などがバイクで颯爽と駆け抜ける。私は自分がそんな映画の場面の一コマに入りこんだような感覚になって非常に気分が高まった。「自由こそ自分が追い求めていたものなんだなぁ」などと尾崎豊風の感想が、尾崎豊の言葉を借りるわけではなく自然と自分の心の中から湧き上がってきた。

....今日の深夜、なぜかこの駅への到着シーンをふと思い出した。大切な思い出なので、忘れないうちに記録しておくことにしよう。

2021年12月,我從臺北車站搭乘自强號列車,花了3小時半的時間,傍晚時刻抵達了嘉義車站。當我走出車站大廳時,天空被夕陽染成橙色的漸層,熱帶傍晚的微風輕輕吹拂著,讓我感到十分愜意。

終於自由了...!我在廣場深吸了一口氣。這一天,我終於完成了長達三個禮拜(14+7天)的隔離期間。三個禮拜前出發日本的時候,我心中充滿了幸福感。因爲終於可以擺脫日本職場所受的各種束縛。然而在台灣,我依然被疫情期間的嚴格限制所束縛,無法像以往一樣説走就走。

因此,那次來到嘉義,我深深珍惜了這份自由。我沉浸在人潮和車流的喧囂聲中,好好感受了這個熱帶城市的脈動。

過不久,朋友的爸爸特地來車站載我。我坐在機車的後座上,吹著舒服的涼風,眺望著川流不息的機車,真心體會到了自由是人生最珍貴的東西。

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