桜前線はあっという間に日本列島を南から北へと去って行く。今年の東京の桜は4月初めに満開を迎え、そしてまたあっという間に散っていった。
一晩中雨が降り続いた夜の明くる日の朝、気付くと既にほとんどの花びらが地面に落ちていた。涼しさと暖かさが交錯しているような妙な空気感を感じながら、地面が一面淡い桜色に染まった谷中霊園の道を歩いた。淡々と季節が過ぎていくのを感じながら、やっぱり春を過ごすなら日本だなぁと思った。
春天,櫻花前線在日本列島上從南至北疾駛過去。今年東京的櫻花,4月初匆匆迎來盛開,然後又匆匆地飄落了。有一天早上,一整個晚上的風雨過了之後,發現了到地上掉光光的一片一片花朵。有人說那種賴活著不如好死般的哲學代表著日本人的精神。其實,我們也對此沒有太多的想法。當天,我只是覺著在濕潤的空氣中涼意與暖意交織,舒服地走過一面粉紅色,淡紫色的路徑。
4月中旬、森林植物学の授業は菌類の生態についてだった。菌類の生活様式には共生・腐生・寄生などがあり・・・という話なのだが、授業が半分を過ぎたころ(即ち授業開始から40~50分の魔の時間帯に)睡魔がやってきた。高校で生物を選択しなかった自分にとっては、細かい話になるとなかなか理解することができない。授業の後半は現実と夢の間を行ったり来たりしていたが、最後になって教授が校内のキノコを紹介しはじめるにあたって突然目が覚め、意識がはっきりした。
4月中,森林植物學的老師在課上講的是菌類的生態,就像是共生,腐生,寄生blablabla⋯。我聽了一半就有點想睡覺,對高中沒念生物的我來說,教授講到細節就無法得到充分的理解。他講的後一半我幾乎沒印象,有意無意往來現實和夢裡的世界。直到他開始介紹校園內的蘑菇,我才振起精神來認真傾聽。
アミガサタケ Morchella esculenta 羊肚菌
紹介されたのは銀杏の木の下に生えるというアミガサダケというキノコであり、見た目からしてあまり食べられそうには見えないのであるが、フランス料理などでも使われる美味しいキノコであるらしい。そして授業終了直前に教授が冗談交じりに言った内容がまた面白かった。
「野外のキノコを食べる時はですね、半分は食べずに残しておくと良いです。というのはもし毒に当たってしまった場合、残りの半分を持ってすぐにお医者さんに行くと治療の際に話が早いですから。」
他給我們介紹了現在剛好在校園內的銀杏樹下生長出來的食用蘑菇アミガサタケ(Morchella esculenta)。然後建議說,在不專業的人採蘑菇來食用的時候,最重要的是不要吃掉全部,而儘量留一半,以便萬一中毒的時候,可以拿著它趕快去就醫。
面白いなぁと思った僕は、授業終了後、校内の銀杏の木の下を観察しに行った。意外にもすごく簡単に、地面からポコポコと顔を出すアミガサタケ(らしきもの)が見つかった。僕はとても嬉しくなって、とりあえず二本採集して家に持って帰った。そして、夕飯にリゾットにして食べた。一応半分残しておいても良かったのだが、明らかに教授が授業で見せてくれたものと全く同じであったし、生えていた場所にも間違いはないので大丈夫だろうと判断して全てを胃の中に収めた。こうして春には春の味を味わえるのは嬉しいことだ。
我覺得很有趣,一下課就去觀察銀杏樹下有沒有什麼,意外地很容易發現了一根又一根長出來的アミガサタケ。我在雀躍中用心採了兩根帶回家,晚餐把它做成稀飯。做完後才想起來了教授的建議,可是因為明明跟教授介紹的一模一樣,而且它長在跟他說的一樣的地方,我就覺得「還好吧」,一口把它全部吃掉了。這就是春天的味道。
僕は以前、初秋が一番好きな季節だと書いたことがある。けれど、もしかしたらその言葉は撤回した方が良いかもしれない。もちろん初秋も好きだけれど、同時に初春もすごく好きなのだ。きっと、自分が好きなのは「新しい季節がゆっくりと、けれども着実に古い季節と入れ替わって行く」という感覚なのだろう。
我曾經寫過,初秋是我最喜歡的一個季節。我好像要撤回這句話。其實我喜歡的不只是初秋,還喜歡初春。也許,我喜歡的是這種新的季節慢慢地又踏踏實實地取代舊的季節的感覺。
季節は淡々と、そして着実に変化していく。
次の目的地は?
下一個目的地,到底在哪裏?