瀬戸内海の島には海の展望が得られる山が多い。晴天率が高く、冬の時期には陽だまりハイキングが楽しめるのがうれしい。有名どころでは、宮島の弥山(標高535m)や、寒霞渓の紅葉などでも有名な小豆島の星ヶ城山(標高817m)などがあるが、今回訪れた江田島も登山が楽しめる山が多い。広島の宇品港から江田島の切串に向かうフェリーに乗ると、着岸が近づくにしたがって目の前に屏風のように山が迫ってくるのが印象的である。
江田島の島内にはクマン岳、古鷹山、陀峯山、三高山(砲台山)など登りごたえのある山が点在しているが、今回はその中で広島市内から最もアクセスのよいクマン岳~古鷹山に登った。切串港からすぐに登りはじめることができるし、下山の際に時間があえば「世界三大兵学校」とかつて称された海上自衛隊の第1術科学校・幹部候補生学校を見学することもできる。それに加えて港の近くで島の海鮮グルメやB級グルメを楽しんだりすれば、充実した旅になることは間違いない。
広島駅から宇品港まで広電で。切串行きのフェリーは似島を横に見ながら朝の穏やかな瀬戸内海を進んだ。
牡蠣筏が並び、途中に通り過ぎた峠島には神社があった。
切串港への入港シーン。素朴な港で、いかにも島旅の始まりの感があって良い。
着いたのが11時前の時間だったので、切串港から歩いて10分~15分ほどのところにある「四季の味ひらの」で早めの昼食で腹ごしらえをした。
刺身の盛り合わせ。ヒラメ、タイ、シマアジが特においしい。
かきフライ。
牡蠣柳川煮。
切串港まで戻り、クマン岳の登山道を歩きはじめて展望が開けた場所から似島。
江田島湾とその向こうの多島美。
古鷹山は隊員の訓練の場所。「坂の上の雲」の広瀬中佐も100回以上登ったとか。頂上には旭日旗がはためく。
海上自衛隊を望む。古鷹山からの下山道は少し注意が必要で、私は黄色テープを道標と勘違いしてしまったため、とても歩きにくい斜面を歩く羽目になった。何とか本来の登山道に復帰したが、手を一か所切ってしまった。
ゲンカイツツジの花が少し咲いていた。
山麓まで下りてきて、時間があれば是非旧海軍兵学校の歴史建造物を見学するのが良い。見学所要時間は1時間半ほどで、案内人の解説のもと、大講堂や幹部候補生学校などの建物をめぐる。切串から登山をするなら昼前には登りはじめて、見晴らしの良いところでお弁当でも食べ、自衛隊側の奥小路登山口に下りてから15時からの見学の会に参加するのが良いだろうか。今回は年末年始期間で開いていなかったが、写真は2017年5月に訪れた時のもの。見学に関する詳細は下記ウェブサイトを確認しよう。
大講堂。坂の上の雲のファンにはたまらない場所。
海上自衛隊から呉行のフェリーが発着する小用港まではバスに乗るのも良いが、バスの時間が合わなくても徒歩でも15分ほどだろうか。徒歩の場合は道中に銘酒「同期の桜」で知られる江田島銘醸株式会社の販売所を通っていくと良い。
小用港でお好み焼き。こちらは関西風だが16時半ごろの時間に行っても焼いてくれた。
登山後の空腹状態で食べたからだろうか、とてもおいしかった。ここから呉に戻っても良かったが、1日朝夕合わせて4本程度の乗合タクシー(それ以外の時間は予約制)の時間がちょうど良かったので、これに乗って切串港まで戻り、ここから広島市内まで戻った。こうして充実した1日が終わった。
夕暮れ時の瀬戸内海も情緒のある風景だ。
Information
江田島のフェリー、バス、乗合タクシーなどの時刻は「公共交通マップ」で網羅されており、とてもおすすめ。また観光パンフレット類は宇品港で全て手に入るので、早めに港についてリサーチするのも良いだろう。
観光もグルメも、海も山も一度に楽しめる江田島は広島旅行のエクスカーションの一つとしておすすめだ。