三浦半島が好きで、学生の時から数えるとこれまでに3回ほど訪れている。特に半島最南端の三崎周辺は開放的な風景が広がっていて、週末に日帰りサイクリングを楽しむには絶好の場所だ。そこで先週、晴天の週末を狙って輪行で自転車旅を楽しんだ。
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今回は久しぶりの輪行なので駅で少し時間がかかったが、ちょうどやって来た快速列車にすぐに乗れて幸先が良い。列車はあっという間に三崎口の駅に着いた。
駅から走り出すと、すぐにキャベツ畑の中に続く一本道に出る。ここでは関東ローム層が堆積する広大な台地上で、キャベツやダイコンをはじめとする野菜類が生産されている。三浦半島最南端の三浦市は耕地面積率が非常に高く(37.4%)、販売農家率(94.4%)も高い関東有数の農業地だ。*1
神奈川に住んでいると三浦野菜がかなりのブランド力を持っているように感じるが、三崎はまさにその本場だ。夏のシーズンはスイカやメロンの生産でも有名で、四季折々の作物が生産されている。
キャベツ畑の一本道を抜けると「黒崎の鼻」という岬に着く。対岸には雪をかぶった富士山の姿がとても大きい。富士山の他にも丹沢、箱根、伊豆半島の山々の連なりが、遮るものなく一望できる。よく見ると、雪をかぶった南アルプスの山々までが顔を出していた。
海岸でゆっくりしてから、昼食場所を求めて三崎港へ移動する。これまでに何度も訪れた三崎港の町並みだが、この日は特に富士山が綺麗に見えた。
三崎港では鮪の漬け丼を食べた。海南神社の参道にひっそりと佇むお店で、前回通りかかった時に気になっていた場所だ。お腹いっぱい食べられたが、せっかく久しぶりの外出なので、2巡目のランチを目指して次の店に移動する。
2巡目ランチに入る前にまずは体を動かそうと、城ヶ島に渡って海岸を散歩した。視界が良いので、房総半島が手が届きそうな距離感で見える。三浦半島から見る房総半島の鋸山は、琵琶湖の湖西から対岸の三上山や伊吹山を見る距離感を思わせる。思っていたより随分近い。
海岸にはツワブキや明日葉が自生している。地面に目を凝らして新芽を採集しながら歩く。そうこうしているうちに、またご飯が食べられそうな気がしてきた。
剱崎の手前まで移動してから、今度は地魚(アジ、太刀魚、スズキ)のフライ定食を注文する。フライはカリっと揚がっている。副菜の黄にんじんの酢の物、アカモクと高菜の和え物なども三浦半島のご当地食材を使っていておいしい。
食後は劔崎の海辺を散歩する。崖上には灯台が見えるが、この灯台は東京湾の入り口の要所に位置し、開国後すぐに建造された日本でも最も古い灯台の一つなのだそうだ。現在は関東大震災後に再建された2代目が建っているが、それでも随分古い。
3月のこの時期、海岸で咲いている花はまだ少ないが、ハマダイコンの花は色鮮やかに咲いていた。こちらも食草として知られているのでいつか試してみたい。
散歩しているうちにだいぶ太陽が低くなってきたので、夕陽を見に再び西海岸を目指す。
今回夕陽を見るために選んだのは、三崎口の駅にほど近い三戸浜という浜だ。富士山と伊豆半島の山並みが真正面に見える。午後4時半ごろに着いたが、まだ夕陽には早かったので浜で横になっていると、波音が心地よくていつの間にか寝ていた。少し寒くなって目を覚ますと、ちょうど良いタイミングで夕陽が落ちるところだった。
家に帰って、今度は料理に取りかかる。手前は海岸で採集した明日葉とツワブキの新芽で、奥は直売所で買ったビーツ、赤かぶ、赤大根だ。
まずはビーツの葉を調理する。直売所のおばちゃんに教えてもらった通り、オリーブオイルとベーコンで炒めてみた。ほうれん草のような食感でベーコンとよく合う。
赤カブ、赤大根は酢の物にすると色がより一層鮮やかになって、食卓を華やかにしてくれる。
続いてツワブキの外皮を剥き、一晩アク抜きしてから、胡麻油を敷いて豚肉と炒めた。肉の旨味がツワブキの爽やかな香りと合わさってとてもおいしい。
...そんなこんなで、久しぶりに充実した良い週末を過ごすことができた。