休学中の記録

旧福浦灯台のベンケイガニ

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以前能登半島をドライブした時の話です。輪島の千枚田能登金剛といった景勝地を周り、金沢へ帰る途中で日本最古の木造灯台と言われている旧福浦灯台を見に行きました。まずは集落の駐車場に車を停め、港の入江を見下ろすように立っている灯台に向かう道を歩き始めました。道は思っていたより狭く、時折両側から草が生い茂る場所さえあったのですが、軽い探検気分を感じながら歩いていきました。

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さて、そんな道の途中で、少し湿った側溝に何か生物がたくさん動いているのが目に入りました。しゃがんでよく見てみると、脚に長い毛をたくさん生やし、大きなハサミを持った茶色い蟹の姿がありました。そしてその横には姿のよく似た、色の真っ赤な蟹が何と10匹以上も連なって歩いていました。

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初めて見る蟹の姿に我を忘れて思わず手にとってみると、想像をはるかに超える力で指をハサミで挟まれてしまいました。痛さに思わず放り投げたくなりましたが、何とか堪えながらハサミをゆっくり外し、持ち方を変えると随分おとなしくなってくれました。蟹のしばらくその姿を観察してから、また元いた側溝にそっと戻しておきました。

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本来の目的を忘れて蟹に夢中になり、ふと我に返ると足を随分蚊に噛まれていることに気づきました。気づいてしまうと急に体が痒さを感じるようになったので、気を紛らわすように早歩きで灯台を目指しました。

旧福浦灯台は日本最古というだけあって随分かわいい灯台で、灯台というよりはむしろ「和洋折衷の常夜灯」と言った方が良いような、そんな感じでした。そして帰り道もまた側溝にたくさんの蟹が歩いているのを横目に、駐車場までの細い道を歩きました。

さて、後で図鑑で調べたのですが、今回見かけた蟹は茶色っぽく見えたのがクロベンケイガニ、真っ赤なのはベンケイガニのようです。海に遊びに行く時、磯の蟹はよく出会えるのですが、ベンケイガニの仲間のように陸地の環境を中心に暮らす蟹を見ることはこれまで少なかったので、とても印象深い出会いになりました。