休学中の記録

最南端のエゾツツジ

f:id:toyojapan1:20210706194425j:plain

日本の山を歩いているとツツジ属(Rhododendron)の植物によく出会います。ツツジ属の植物にはハクサンシャクナゲやミヤマキリシマなど、登山者に人気の高い植物がたくさんありますが、私がその中で一番好きなのはエゾツツジです。

f:id:toyojapan1:20210706122823j:plain

大雪山のエゾツツジとチシマキンレイカ

エゾツツジは背丈が低く、葉の縁や花柄が細かな毛で覆われていて、濃いピンク色の花がとても大きくよく目立ちます。

その名前が示す通り、日本では北海道で数多く見られるのですが、北東北の山が南限となっていて、中部山岳の高山でも見ることができません。だからこの花が咲いているのを見ると、北の山にやってきたなぁという実感が深まります。

f:id:toyojapan1:20210706122733j:plain

さて、先日秋田駒ヶ岳に登ったのですが、その際にもたくさんのエゾツツジと出会いました。エゾツツジは先述の通り日本では北海道と北東北の山に分布していますが、世界に目を向けると分布の中心は北方の千島列島~アリューシャン列島~カムチャッカ半島~アラスカにあります。*1日本のエゾツツジは全世界的に見て分布の南限にあたり、秋田駒ヶ岳のエゾツツジはその中でも最南端に位置していることになります。

遥か北極圏近辺の植物が北緯40度までやって来るとさすがに元気が無くなるのかと思いきや、秋田駒ヶ岳のエゾツツジはとても旺盛に成長し、至るところで大規模な群落を作っていました。

f:id:toyojapan1:20210706221854j:plain

秋田駒ヶ岳から田沢湖を望む

6月下旬から7月にかけては梅雨時なのでなかなかすっきり青空とは行きませんが、そんな中、エゾツツジの目の覚めるようなピンク色がとても印象的でした。

*1:学名もRhododendron camtschaticumですね